映画「甘い人生」

映画「甘い人生」 に関する記事です。
韓国題は、 달콤한 인샘 タルコマン インセン(甘ったるい人生)というそうです。
ちなみに英語題は、「a bittersweet life」です。

ちょうど1年前に映画館で初めて観たとき、映像や音楽が私の好みだし、物語の描き方も洒落ていて面白いゾ、と思いながら前半は観ましたが、後半はハラハラしっぱなしでした。極端に突っ走ってしまう主人公・ソヌ(イ・ビョンホン)がこれからどうなるのかと。

記者会見で、ソヌの心境について、イ・ビョンホンが語っていたのを思い出しました。
「テストでいつも100点を取る生徒と、70点を取る生徒がいたとする。たまたま50点を取ってしまったとき、いつも70点の生徒はまたこの次がんばればいいと思うが、いつも100点の生徒は全てを失ったと思い、破滅へと向かう。」
というような内容だったと思います。
優等生は意外と弱いのです。ソヌは、優等生というと少し違いますが、裏社会で若くして成功した人。このまま自分の人生は何もかもうまく行くんだ、苦労して今のポジションを手にいれたのだから、と思っていたと思います。けれども、世の中はそんなに甘くはありませんでした。そこには、自分はボスからかわいがられている、自分はできる人間なのだという思いあがりがあったのでしょう。
ソヌの一度の過ちから、取り返しのつかないことになってしまいます。すべてを失い、どん底を味わうことになります。

もう最後のほうは虚しさでいっぱいでした。特に暴力的なシーンは、大画面で迫力があったこともあって、まともに観ることができませんでした。

でも、今回(2回目)はあらすじがわかっているので、安心して観れました。この場面はここにつながるのか、とか新しい発見がありました。

今回(2回目)は、キム・ジウン監督がインタビューで言っていた芸術的なこだわりも随所に見えたし、ソヌの内面にも目がいきました。映画を味わったというような感じです。

冒頭、ソヌがチョコレートケーキを食べているシーンがあります。私が好きなシーンのひとつです。食べている途中で階下から呼ばれて席を立ち、結局ケーキを全部食べることができませんでした。人生の甘さを味わいきれない、という暗示にもとれました。
それから、ソヌが壁も崩されて柱だけになったビルから、カン社長のビルを見下ろすシーンがありました。ソヌの復讐心が燃える大事なシーンだが、その柱だけの空虚なビルは、全てを失ったソヌ自身のようでした。その空虚なビルから、かつて働いていたホテルを見つめます。ホテルにはソヌの全てがあって、人生の甘い時間を過ごした場所。ホテルとソヌが立つビルとの対比で悲惨さがいっそう際立ちます。色もホテルは白、ビルは黒で対比しています。

ノワールといわれる分野の映画らしいですが、映像もきれいだし、コミカルなところもありました。ノワールとか韓流とか、何かの枠に入れなくてもいいと思いました。私はこの映画、好きになりました。もちろん私がイ・ビョンホンが好きということを抜きにしても、いい。質が高い映画だと思います。何度観ても新しい発見がありそうで、また観たい映画です。

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